モンキーハンティング

問題



解説

モンキーハンティングとは ジャングルの中でハンターが、木の枝にぶら下がっている1匹のお猿さんを見つけました。ハンターが銃を撃つと同時に、お猿さんは手を離して木から落ちていきます。お猿さんを仕留めるには、銃をどこに向けて撃てばよいか、という昔からある物理の問題です(現実なら動物虐待です!)。答えはシンプルで、最初からお猿さんをねらえばいい、ということです。その理由を、ここでは、銃の弾を赤玉、お猿さんを青玉として、考えてみましょう。

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それではまず、無重力のとき(重力がないとき)どうなるかを考えてみましょう。

青玉にも赤玉にも、何の力もはたらかないので、慣性の法則により、青玉は静止、つまり、その場でじーっと止まって浮いているだけです。赤玉は等速直線運動、つまり、ずーっと同じ速さで動いていきます。なので、赤玉が青玉めがけて進んでいれば、赤玉は青玉に必ず命中します。

「物体に力が何もはたらいていないなら、物体はずーっとそのまま」という法則です。つまり、物体に力が何もはたらいていないなら、止まっている物体はずーっと止まったまま、動いている物体はずーっと同じ向きに同じ速さで動きっぱなし、ということです。

 

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では次に、重力があるとどうなるかを考えます。

物体に力がはたらくと、物体の速さや向きが変わったり、物体の形が変わったりします。

青玉には重力がはたらき続けているため、速さが変化し続けます。つまり、青玉は速さを増しながら真下に落下します。そのときに落下する距離は、落下した時間 t と、重力加速度 g を使うと 12gt2 という式で計算することができます。

物体が落下するときには、重力という地球の引力のために、だんだん速さが大きくなっていきます。このときの「速さの変化の割合」つまり「1秒間にどれだけ速さが増えるか」を重力加速度といい、 g と書きます。この g を使って計算すると、落下する距離は 12gt2 となります。 12gt2 という公式に m(質量)は使われていません。これは、「落下する距離は、物体の重さとは関係がない」ということです。関係があるのは、重力加速度gと時間tだけです。つまり、地球上では、アリさんにもゾウさんにも月にも同じgがはたらいているので、同時に落とせば、同じ時間内に落下する距離はみんな同じということです。 月は、水平方向の速さが速すぎ&絶妙すぎて、地上に落っこちる前に、また元の高さに戻ってきてしまうので、地球の周りをクルクル回ることになります。 太陽系惑星の重力加速度(惑星の大きさ順。単位は m/s2ウィキペディアより) 太陽(274)、木星(24.8)、土星(10.4)、天王星(8.9)、海王星(11.2)、地球(9.8)、金星(8.9)、火星(3.7)、水星(3.7)、月(1.6) ※ちなみに、太陽は「恒星」、月は「衛星」です。 「地球(9.8)」というのは、言い換えると、地球上のすべてのものは、1秒間に毎秒9.8mずつ速さを増しながら落下していく、ということです。

赤玉は斜め方向に運動します。斜めに進むということは、横に進むと同時に、上に進むことなので、水平方向の運動と鉛直方向の運動に分けて考えます。

鉛直方向とは、「糸のついたをぶら下げたときに糸がまっぐになる方向」つまり「地球の中心に向かう方向」です。水平方向とは、「面がらになる方向」つまり「鉛直方向と垂直(90°)になる方向」です。

赤玉は、水平方向には何も力がはたらいていないので等速直線運動で進みます。鉛直方向には重力がはたらいています。なので、重力がないときに行くはずだった位置から、青玉と同じ距離 12gt2 だけ落ちます。その結果、赤玉が水平方向に青玉の位置まで行ったときには、青玉に命中することになります。

 

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まとめで~す。

「重さ」や「速さ」や「重力」とは関係なく、とにかく最初に、赤玉をきちんと青玉に向けて発射すれば、赤玉は必ず青玉に命中します。(赤玉も青玉も、地面に着かなければ。)

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